第51回福島県写真展表彰者(入賞者名簿)

★ 入賞者名簿の末尾に、入賞作品7点について、審査員の福田健太郎先生の講評を掲載しましたのでご覧ください。

一般の部

 賞名題名氏名住所
1

福島県写真連盟大賞

福島県知事賞

愁 い舟山 俊弘福島市
2福島県教育委員会教育長賞目覚め堀川   亮郡山市
3福島県芸術文化団体連合会賞淡き光猪狩 素己福島市
4福島県議会議長賞出番前只木 吉昭南相馬市
5福島市長賞思い出作り新妻 美宏いわき市
6福島市教育委員会教育長賞山車太鼓の響児山 昭一会津若松市
7福島市文化団体連絡協議会長賞春はまだか佐藤 美智子三島町
8伊達市教育委員会教育長賞春 風熊坂 隆夫福島市
9二本松市教育委員会教育長賞春 が来 た!相楽 執一郡山市
10本宮市教育委員会教育長賞もっとちょうだい!平野  功     福島市
11郡山市教育委員会教育長賞長谷部 孝太郎福島市
12田村市教育委員会教育長賞夜に吸い込まれる高橋  大会津若松市
13須賀川市教育委員会教育長賞秋模様冨岡 榮子いわき市
14白河市教育委員会教育長賞不思議の森の少女鈴木 悠福島市
15会津若松市教育委員会教育長賞羽衣の舞 中嶋 秋水郡山市
16喜多方市教育委員会教育長賞谷間の秋 入部 守弘郡山市
17相馬市教育委員会教育長賞魂宿る熊田 裕子矢祭町
18南相馬市教育委員会教育長賞黄金の中を高橋 直暉福島市
19いわき市教育委員会教育長賞眼差し丹治 和子福島市
20(公財)福島県文化振興財団賞中学生の只見線応援根本 晴夫白河市
21福島市写真美術館賞霧に煙る山田 順子南相馬市
22福島県労働福祉協議会会長賞ひと休み  橋本 ケイ子三春町
23(公財)福島県観光物産交流協会賞再会.只見線 長谷部 克則只見町
24福島民報社賞なごり雪橋本 優香福島市
25福島民友新聞社賞復活只見線 遠藤 英次伊達市
26(株)日本写真企画(フォトコン)賞虹の応援高橋 直裕福島市
27NHK福島放送局賞一休み 渡邊 純希郡山市
28福島テレビ賞らんまん泉    邦子南相馬市
29福島中央テレビ賞未来へのまなざし澁谷 良一川俣町
30テレビユー福島賞静から動へ中村 輝幸会津若松市
31二科会写真部福島支部長賞優しさに触れて三星 麻紀いわき市
32(株)第一印刷賞槍映え幕田 芳典福島市
33(株)民報印刷賞朝霧のはせ田森藤 哲良伊達市
34福島トヨタ自動車(株)クラウン賞撃 つ加藤 好紀福島市
35福島トヨタ自動車(株)プリウス賞少女A伊藤  諒相馬市
36福島トヨタ自動車(株)ランドクルーザー賞雪 国大島 市郎会津若松市
37カラーサイエンスラボ賞冴える朝大橋 誠寿福島市
38額縁のミヨシ賞危機一髪笹岡 伸仁猪苗代町
39お料理かねと賞冬日雪嶺ヲ照ス鈴木 健一郎福島市
40ヒロヤ写真賞雲上の祈り宗形 和幸三春町
41おやま写真賞怒涛のレース矢部 美保須賀川市

委嘱の部

1福島県写真連盟特別賞清流の輝き中 村   繁福島市
2福島県写真連盟特別賞月昇赤富士佐久間  吉信二本松市
3福島県写真連盟特別賞厳冬の地で生きる歌川 敏美福島市
4福島県写真連盟特別賞化 粧佐藤 春男郡山市
5福島県写真連盟特別賞触 手我妻 英昭石川町
6福島県写真連盟特別賞長老の笑顔橋本寛二三春町

第51回福島県写真展入賞作品、審査員講評

講評は、第51回福島県写真展審査員 福田 健太郎 氏です。

  1973年、埼玉県川口市生まれ。
  幼少期から自然に魅かれ、自然、風景、人に出会いたく、18歳から写真家を志す。
  1997年、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経てフリーランスの写真家として活動を開始。
  公益社団法人 日本写真家協会 会員(JPS)  公益社団法人 日本写真協会 会員(PSJ)
  福田健太郎先生のホームページへ 

 



福島県写真連盟大賞  福島県知事賞 「愁い」 舟山 俊弘 氏

 とても印象的な作品で、明るく柔らかなトーンで仕上げられたプリントは透き通るほどに美しく、香り立つというのでしょうか。清楚感に満ちています。その中で、眼差しに隠されているものは何なのか。鑑賞者はいろいろ想像したくなるのです。古くからの写真ファンは、日本を代表する写真家 木村伊兵衛氏の「秋田おばこ」の作品を思い浮かべる方もいるでしょう。モチーフは同じ、お祭りの日に菅笠を被った女性ですが、作品から響いてくるものは全く異なります。緊張した面持ちで、一瞬見せた表情に舟山さんはハッとされたことでしょう。


福島県教育委員会教育長賞 「目覚め」 堀川 亮 氏

 自然豊かな福島県だからでしょうか。魅力的な風景作品が数多く揃い、私の心を鷲づかみしたのが堀川さんの作品です。写真を撮る人にはあまりにも有名で、釣り人も沢山訪れる桧原湖の西岸、北塩原村細野地区の風景です。遠方に聳える磐梯山を引き寄せるのではなく、湖にせり出している手前の木を大胆に配し、ダイナミックに写し出しています。インパクト重視で派手に仕上げるのではなく、目覚めの刻の厳かな雰囲気をしっかりと届けてくれました。


福島県芸術文化団体連合会賞「淡き光」 猪狩 素己 氏

 新雪直後の無垢な雪景色と思われます。朝方の横方向からの光を受けて、繊細な淡い色合いと柔らかな質感を伝えるデリケートな再現で、雪景色を見事に表現されています。さらに、画面手前から奥まで、気持ちよいほどピントが合っていて、雪に包まれた風景で感じ取ることができる、静謐な無音の響きが作品から感じられ、いつまでも眺めていたくなる作品です。雪景色を照らす光の性質を猪狩さんは鋭く読み、巧みなテクニックで写し出されています。



福島県議会議長賞 「出番前」 只木 吉昭 氏

 本当に美しい、フォトジェニックな瞬間ですね。紅をさしているのはご家族や近しい人でしょうか。表情は窺えませんが、女の子を綺麗にしてあげようとする、愛に溢れているように私は感じました。そして、じっとしている女の子の健気さも伝わり、ちょうどよい具合にキャッチライトが入り、瞳がキラッと輝いています。只木さんはポジション・アングルの選び方が上手く、タイミングを見極めていますし、隙のないフレーミングは秀逸です。



福島市長賞 「思い出作り」 新妻 美宏 氏

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 三脚をしっかり立てて、楽しく記念写真を撮影されています。新妻さんがシャッターを切った瞬間のポーズが非常によく、彩り鮮やかな黄葉の銀杏並木と合わせて、左右対称のシンメトリーの構図が印象度を高めました。さらに公園内を歩く人々もそれぞれ表情豊かで、作品全体にハートフルな、幸せに包まれた雰囲気が溢れています。身近な公園のひと時ですが、心に触れるシーンはどこにでもあることを教えてくれる一枚です。


福島市教育委員会教育長賞 「山車太鼓の響」 児山 昭一 氏

 夜の帳が下りる頃、太鼓や笛の音が響き渡る、美しい情景が広がっています。画面真ん中、太鼓を叩いている人たちに私達の目は向かいがちですが、この作品の素敵なところは藍色の空の部分に隠されているのではないかと私は思いました。この空間から、連綿と受け継がれてきた悠久の歴史や文化、慎ましやかな人々の暮らし、願いや想いを感じ取ることができるのです。地元の方々に寄り添う真摯な気持ちで、児山さんはカメラを向けられたのではないでしょうか。


福島市文化団体連絡協議会長賞「春はまだか」 佐藤 美智子 氏

外には雪が積もっています。冬の晴れ間、慣れた態勢で猫は外の景色を見つめていて、季節の移ろいを待ち侘びる題名とともに届けてくれました。ご自宅と思われますが、佐藤さんだからこそ写すことができたシーンを飾り立てることはせず、てらいなく写しているところに惹かれました。部屋にはシクラメンが一輪咲いていて、シックな色の世界にこの赤色がとても目立っています。