★入賞者名簿の末尾に、審査員の鉄道写真家 中井 精也 先生の講評を掲載しています。上位入賞作品7点、及び中井先生がピックアップされた6点の入賞作品の講評です。<講評のページに移動する>

◇一般の部

1 福島県写真連盟大賞・福島県知事賞 舞台に立つ 大橋 誠寿 福島市
2 福島県教育委員会教育長賞 雪上行進 川浪真知子 福島市
3 福島県芸術文化団体連合会長賞 安らぎのとき 秋葉 克彦 伊達市
4 福島県議会議長賞 厳冬の目覚め 堀川 亮 郡山市
5 福島市長賞 大雪の花見山 鈴木 修一 福島市
6 福島市教育委員会教育長賞 こっちむいて! 熊坂 隆夫 福島市
7 福島市文化団体連絡協議会長賞 暁の早苗田 菊地 美雄 福島市
8 伊達市教育委員会教育長賞 凝視 猪狩 素己 福島市
9 二本松市教育委員会教育長賞 春惜しむ 石川 茂 二本松市
10 本宮市教育委員会教育長賞 小宇宙 長谷川 豊 郡山市
11 郡山市教育委員会教育長賞 お気に入り 佐藤 奈々 郡山市
12 田村市教育委員会教育長賞 ステップ&ジャンプ 坪池 利明 福島市
13 須賀川市教育委員会教育長賞 たわわにレンジャク 遠藤 教夫 郡山市
14 白河市教育委員会教育長賞 待ちぼうけ 熊田 裕子 矢祭町
15 会津若松市教育委員会教育長賞 朝焼けの一番列車 熊坂 信一 福島市
16 喜多方市教育委員会教育長賞 銀河を渡る橋 齋藤五輪雄 喜多方市
17 相馬市教育委員会教育長賞 緑繋ぐ 佐藤 森 郡山市
18 南相馬市教育委員会教育長賞 戦国無双 矢部 幸一 須賀川市
19 いわき市教育委員会教育長賞 曙にそそぐ 山岡 哲 郡山市
20 公益財団法人福島県文化振興財団賞 朝仕事 木目沢善喜 郡山市
21 福島市写真美術館賞 夏休み 矢部 美保 須賀川市
22 福島県労働福祉協議会会長賞 ミルク色の夜明け 蛭川 敏 福島市
23 公益財団法人福島県観光物産交流協会賞 郷の想い 熊田 孝一 郡山市
24 株式会社福島民報社賞 奥会津の冬 小林 宗一 南会津町
25 福島民友新聞社賞 冬の造形 中嶋 秋水 郡山市
26 株式会社日本写真企画 フォトコン賞 光芒 大澤 生恵 福島市
27 日本放送協会福島放送局賞 森青蛙 命の胎動 狩野 剛 福島市
28 福島テレビ株式会社賞 受け継がれる漢の背中 上野 貴道 湯川村
29 株式会社 福島中央テレビ賞 停戦 梅津 隆 福島市
30 テレビユー福島賞 春の忘れ物 阿部恵美子 福島市
31 二科会写真部福島支部長賞 荒野行く 鈴木 一生 いわき市
32 株式会社第一印刷賞 新緑 木下 亨 福島市
33 株式会社民報印刷賞 雪庇 大島 市郎 会津若松市
34 福島トヨタ自動車株式会杜 クラウン賞 小さな力士 青田 明子 南相馬市
35 福島トヨタ自動車株式会杜 プリウス賞 雨の日の特訓 猪狩 幸一 福島市
36 福島トヨタ自動車株式会杜 ランドクルーザー賞 馬っ娘 野崎 修司 福島市
37 株式会社カラーサイエンスラボ賞 青の舞 平野 功 福島市
38 額縁のミヨシ賞 モーニング・バード 吉田 正男 いわき市
39 お料理かねと賞 羽衣まとう花園 髙橋 健一 伊達市
40 ヒロヤ写真賞 真夏の幻影 佐藤 祐一 南相馬市
41 おやま写真賞 山間部を走る 川名 和夫 郡山市
42 福島県写真連盟賞 ペアの舞 鈴木 洋 郡山市
43 福島県写真連盟賞 線上のアリア 岡本恵美子 白河市

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◇委嘱の部

44 福島県写真連盟 特別賞 愛の淵に立つ 佐久間陽也 福島市
45 福島県写真連盟 特別賞 共存 相田 勝仁 福島市
46 福島県写真連盟 特別賞 冬の訪れ 佐藤 弘信 南相馬市
47 福島県写真連盟 特別賞 初雪の頃 折笠 正人 南相馬市
48 福島県写真連盟 特別賞 真冬のオアシス 矢舘 実也 伊達市
49 福島県写真連盟 特別賞 春風のプロローグ 歌川 敏美 福島市

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審査員の鉄道写真家 中井 精也 先生の講評

講評は第53回福島県写真展審査員の鉄道写真家、中井精也先生です。

◇中井精也氏プロフィール
1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被
写体として独自の視点で鉄道を撮影し、毎日、その日に撮影した鉄道写真をブログで公
開する「1日1鉄!」や、鉄道で感じる旅情やゆる~い雰囲気を作品にした「ゆる鉄」など
新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から始めた「1日1鉄!」は2024年
で20周年を迎えた。
また、2021年9月から日本全国を回りながら自らの作品を販売するギャラリー&ショッ
プ「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。広告雑誌のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動
している。株式会社フォート・ナカイ代表。2015年、講談社出版文化賞・写真賞、日本
写真協会賞新人賞受賞。著書・写真集に「ゆる鉄絶景100」(小学館)、「ミラーレスカメラ
と写真の教科書」(インプレス・ジャパン)、「カメラは魔法の小箱です」(玄光社)などがあ
る。甘党。
○TVレギュラー
「中井精也の絶景!てつたび」/ NHKBS、BSP4K
 中井精也の「にっぽん鉄道写真の旅」/ BS-TBS
◆公式ブログ「1日1鉄!」https://ameblo.jp/seiya-nakai/


総評

1 写真の裏打ちについて
 日本は非常に湿度の高い国なので、わずかな時間でも写真が歪んで平面性が悪くなります。それだけで作品の価値が下がります。裏打ちシートがあるので、それを貼ると写真自体がピンと張ります。今回の作品を見ると裏打ちのない作品も見うけられました。裏打ちをすると額装した作品全体の出来映えが変わります。
2 写真が上手だけではコンテストには通らない
 写真が上手で、かつ見てもらおうという想いが作品全体に感じられるかどうかが大きな要素です。写真は撮ることが楽しいので、写真を撮ることが目的になりがちですが、実は自分が風景の中で感動したことを写真という媒体を通して人に伝えるためのツールだと思ってください。
3 写真は伝えるためのもの
 写真の撮り方、額装の仕方、見せ方を全て丁寧に行うことで素晴らしいものになります。写真は、撮るものではなく、伝えるためのものであるということを覚えてください。

◇上位7作品の講評
1 福島県写真連盟大賞・福島県知事賞
  題名「舞台に立つ」 大橋 誠寿 氏

 出来すぎの写真です。この写真を撮れた時は、すごく嬉しいと思ったでしょう。自然の豊かさも含めて、まるで映画のワンシーンの様なこの作品を大賞に選びました。撮影箇所は、奈良の若草山とのことですね。

2 福島県教育委員会教育長賞
  題名「雪上後進」 川浪 真知子 氏

この作品は写真だけじゃなく、プリントの質の高さ、そして白い額に合せて非常に優しい感じに仕上げているところを評価しました。何と言っても、普通は見過ごしてしまうような被写体をこうしてきっちり作品にしている姿勢も良いです。

3 福島県芸術文化団体連合会長賞
  題名「安らぎのとき」 秋葉 克彦 氏

この作品は全体的にレベルの高い作品です。プリントも用紙選びも、額の選びも、写真の質の高さ、総合的に素晴らしい作品です。

4 福島県議会議長賞
  題名「厳冬の目覚め」 堀川  亮 氏

この作品は、レタッチやバランスも非常に良い、壮大さがうまく強調された作品です。全体的に非常に総合力の高い作品です。

5 福島市長賞
  題名「大雪の花見山」 鈴木 修一 氏 

非常に落ち着きのある作品です。被写体の選びは、定番の撮り方ですが、ここまで綺麗な状況のお花を見つけるのも大変です。どこからどこまで入れるのか、その微妙な画面の中のバランス感覚が素晴らしいです。構図力も素晴らしいです。

6 福島市教育委員会教育長賞
  題名「こっちむいて」 熊坂 隆夫 氏

 この子供の可愛さ、そして夢中になっている所作、楽しさ、そういう切り取り方も上手くてグッときてしまいました。顔が全部見えてないっていうのもポイントかなと思いました。

7 福島市文化団体連絡協議会長賞
  題名「暁の早苗田」 菊地 美雄 氏

水田の水鏡に映った夕景の美しさですね。夕景の美しさに着目し、それを強調して縦位置構図にした非常に素晴らしい作品です。

中井先生が特にピックアップして講評していただいた作品5点
1 フォトコン賞 題名「光芒」・大澤 生恵 氏

只見線の第一橋梁を船着き場から撮影した作品です。定番のポイントですが、プリントの質が高く、また額の選びが非常に上手です。そして、ちょっと横長のフォマットでお洒落なアスペクト比を選ばれたところにセンスを感じました。

2 民報印刷賞 題名「雪庇」・大島 市郎 氏

この様に春になると雪が屋根の軒からずれてきて、迫力のある景色になるんですね。度肝を抜かれる作品ですが、奇をてらうことなく真っ直ぐに捉えており、非常に好感の持てる作品でした。

3 福島県労働福祉協議会会長賞 題名「ミルク色の夜明け」・蛭川 敏 氏

この作品は鉄道写真です。私は鉄道写真家ですのでハードルが非常に高くなります。そのような中で通った作品です。山形鉄道の宮内駅だと思いますが、霧で霞んだ白い世界を白い額で飾ってます。「ミルク色の夜明け」というタイトルも非常に良かったです。

4 公益財団法人福島県文化振興財団賞  題名「朝仕事」・木目沢 善喜 氏

福島の日常をうまく切取った作品です。遠くに行って絶景を取ることだけが写真じゃなく、いつも見えている日常の風景の中にもこんな素敵な瞬間があるということを改めて実感させてくれる作品です。軽トラックを入れるかどうか悩んだことと思いますが、入れて良かったと思います。 

5 本宮市教育委員会教育長賞 題名「小宇宙」・長谷川 豊 氏

お花がたくさん池に咲いています。この様な作品は結構入選します。しかし、この作品は、水面に波紋を入れて良いですね。また「小宇宙」というタイトルが良いです。写真は、プリント・額装・タイトルの全てが大事になります。そういう意味で非常に総合点の高い作品です。

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